太った猫と病気の研究。糖尿病の危険、寿命との関係、減量の速さ
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「太った猫は病気になりやすい」とよく言われますが、どの研究がどこまで示しているのかは、あまり知られていません。この記事では、太った猫と病気の関係を追った研究と、体重を減らすときの速さの目安を、出典にそって整理します。この記事は研究の紹介だけを目的にしているので、商品の紹介やお店へのリンクは置いていません。太りすぎの見分け方(ボディコンディションスコア)と、食事の量の決め方は、別の記事「猫の体重と食事の量」に書いています。
太った猫は糖尿病になりやすい
Scarlett と Donoghue は、米国の27の動物病院で1,457頭の猫の体型を記録し、約4年半追跡しました。太りすぎの猫は、適正体重の猫に比べて糖尿病になる危険が約3.9倍でした。足を引きずる症状(関節の病気や軟部組織のけがと考えられる)は約4.9倍、アレルギー以外の皮膚の病気は約2.3倍でした1。
出典: Scarlett・Donoghue 1998(1,457頭を約4年半追跡)(縦の線は1.0倍)
この研究は体型を記録したあとに病気の発生を追った「前向き」の研究で、因果の向きを読みやすい設計です。ただし1990年代の米国の猫が対象で、体型の判定も病院ごとの獣医師の目によるものです。数字は目安として読んでください。
体型と生存期間の関係
寿命との関係を調べた研究もあります。オーストラリアの Teng らは、猫の患者が多い一次診療の動物病院の記録から、9段階のボディコンディションスコア(BCS)と生存期間の関係を調べました。BCS 6 の猫を基準にすると、BCS が3・4・5 の猫と、9(いちばん太っている)の猫で、死亡の危険が高くなっていました2。
この研究では、やや太めの猫の成績がよかった点が注目されましたが、著者らも書いているように、太りすぎは慢性の病気と関係しています。病気で体重が落ちた猫が「細い群」に入ることで、細い猫の成績が悪く見えている可能性もあります。「細ければいい」わけではなく、極端に細いことも極端に太ることも避ける、という読み方が妥当です。
減らすなら、ゆっくり。急な絶食は危ない
太った猫の体重を減らすときに、いちばん注意が必要なのは速さです。猫は急に食べる量が減ると、肝臓に脂肪がたまる病気(肝リピドーシス)を起こすことがあります。米国動物病院協会(AAHA)の体重管理の指針は、猫の減量を1週間に体重の0.5〜2%の範囲でゆっくり進めるよう勧めています3。4kgの猫なら、1週間に20〜80g です。
食事の量を大きく減らす前に、かかりつけの獣医師に相談してください。病気が隠れていることもあり、必要なエネルギーの計算も、猫ごとに違います。この記事は一般的な研究の紹介で、個々の猫の減量の指示にはなりません。
まとめ
- 太った猫は糖尿病になる危険が約3.9倍、足を引きずる症状が約4.9倍という追跡研究がある。
- 極端に細いことも、極端に太ることも、生存期間と関係する。やや太めの成績がよかった点は、病気で細くなった猫の影響も考えられる。
- 減量は1週間に体重の0.5〜2%まで。急な絶食は肝リピドーシスの危険があるので、獣医師と進める。
この記事は、猫の食事について調べたことを書いたもので、獣医師の診断や助言の代わりにはなりません。減量が必要な猫や、病気のある猫については、かかりつけの獣医師に相談してください。
参考文献
- Scarlett JM, Donoghue S. Associations between body condition and disease in cats. Journal of the American Veterinary Medical Association. 1998;212(11):1725-1731. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9621878/
- Teng KT, McGreevy PD, Toribio JALML, et al. Strong associations of nine-point body condition scoring with survival and lifespan in cats. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2018;20(12):1110-1118. https://doi.org/10.1177/1098612X17752198
- Brooks D, Churchill J, Fein K, et al. 2014 AAHA weight management guidelines for dogs and cats. Journal of the American Animal Hospital Association. 2014;50(1):1-11. https://doi.org/10.5326/JAAHA-MS-6331